交通事故救助のテクニック②

救助

みなさん、こんにちは。

いつも読んでいただきありがとうございます。

私の簡単なプロフィールです。
kouと申します。
10年以上消防士として勤務していました。
在職中のほとんどを救助隊として過ごし、隊長、機関員、隊員の経験もあります。
現在は退職して、消防士の後輩向けに情報発信をしています。
もうすこし気になる方はトップページより、プロフィールを御覧ください。

今回は、先日解説した 交通事故救助のテクニック①

の続編となります。

交通事故救助の知識技術を高めていきましょう。

また、今回も前回同様に動画を参考に技術の解説をしていきます。

 

一度、動画をすべて視聴した後に、この解説を確認し、再度動画で確認することをおすすめいたします。

 

それではまいりましょう。

 

ポイント

間隙(すき間)の作成要領

まず、ドアを破壊して開放しなくてはならないとなった時

スプレッダーやスーパーカッターを使用するためには

かならず、すき間が必要となってきます。

そのため動画中でも、マイナスドライバーのようなものを一度差し込んでいます。

これは、マイナスドライバーではなく内張り剥がしです。

この内張り剥がしは、先端は薄く、そして角度がつけられています。

そのため、車両のドアや車内の内張り(天井など)のすき間に差し込むことができ

てこの要領で持ち上げると、簡単にすき間(間隙)をつくることができます。

このすき間を利用して、この後のハリガンツール使用につなげます。

すき間(間隙)を作成するにあたって、内張り剥がしが推奨する理由として

バールやハリガンツールでも可能ではありますが、この内張り剥がしに比べて大きいため、

細かな作業は内張り剥がしなどを利用するほうが活動しやすいです。

動画中の内張り剥がしは交通事故救助でも対応できる仕様のため

通常市販されているものよりも強度が高いですが

ホームセンターなどで売られているものであっても十分な強度がありました。

私自身もそちらを使用していました。

 

ハリガンツールの使用方法

内張り剥がしを使用して、すき間を作成した後は

ハリガンツールの登場です。

と、その前に気づいた方はいらっしゃいますか?

車両ドアの窓がすでに無くなっていませんか?

これは、車両のドアを破壊する前に窓を破壊しているのですね。

なぜでしょうか?

それは、車両のドアを破壊する際にドアが変形することにより

窓が割れてしまうからですね。

窓が割れてしまうと、車内に取り残された要救助者に

割れた窓の破片が飛び散ってしまいます。

それを未然に防ぐために、破壊しているのですね。

破壊する方法以外に、車のバッテリーや電気系統に異常がないことが確認できれば

窓を閉じてしまい、そのすき間をガムテープなどで塞いでおく方法もひとつですね。

 

ハリガンツールの使用方法ですが、

内張り剥がしによって作成したすき間にハリガンツールを差し込みます。

そして、動画中では差し込んだハリガンツールを時計周りに90度回転させ

さらにすき間を広げています。

その広がったすき間にスプレッダーを差し込んでいますね。

この方法ですと、スプレッダーを差し込むためのすき間は十分にありますね。

 

ハリガンツールでなくても、バールであったりストライカーでも

すき間を作成することはもちろん可能です。

ハリガンツールの良いところは、最小の力で安定して幅広いすき間を作成できるところです。

一度、差し込んで90度回転させてしまえば片手でも容易に保持することが可能です。

バールなどですと、広げたすき間を保持するために大きな力が必要ですし

ハリガンツールほど幅広いすき間を作成できないというところが難点ですね。

ドアの開放要領

内張り剥がし、ハリガンツールを使用して作成したすき間を利用して

スプレッダーでドアの破壊(開放)をしていきます。

ハリガンツールでスプレッダーを差し込めるほどのすき間ができた後

スプレッダーでさらにすき間を大きくします。

目安としては、スプレッダー本体が入るほどの大きさです。

その作業ができたら、ドアと車体の間にあるゴムを取り外します。

このゴムを事前に取り外すことによって

スプレッダーの先端チップが滑ってしまうことを防ぎ

スプレッダーの予期せぬ挙動で要救助者や救助隊員への受傷リスクを減らすことも可能です。

 

そして、大きく作成したすき間に対して

スプレッダーを上から差し込みます。

通常、スプレッダーを使用する場合は腕で持ち上げて使用しますが

この車両ドア開放時は、上から差し込むことをおすすめいたします。

理由として

スプレッダーを持ち上げ続ける必要がない

ドアの開放する方向に向かってスプレッダーの力を伝えることができる。

スプレッダーでドアを少しずつ開放していくごとに、

スプレッダー自身の重さで下にさがっていくため

破壊作業も容易にできますね。

 

ラッチ側の開放が完了した後に、ヒンジ側の破壊作業にはいっていますが

なにか違和感を感じる方はいらっしゃいませんか?

そうです。

ヒンジは上下2箇所あるのですが、その下側から破壊を行っています。

通常の考え方でいくと、上部のヒンジから破壊することがセオリーになるかと思います。

ですが、ラッチ側を破壊した後はヒンジ側の下部から破壊します。

なぜか?

それは、ヒンジの上部の破壊作業を先に行ってしまうと

破壊するドアが地面に接してそこが支点となり

スプレッダー側が力点となって

車両自体が持ち上がってしまうためです。

そういったことを防ぐために、破壊の流れは、

ラッチ → ヒンジ下部 → ヒンジ上部

の破壊作業となります。

そうすると、車両への影響も少ない状態でドアの開放を行うことができます。

 

ハンドルの挟まれからの開放

最後に行っているのは、運転席側の要救助者が

事故の影響で車体が変形し、ハンドルと座席に挟まってしまったときの

ハンドルを上方向に持ち上げて、救出するための技術です。

 

スプレッダーとチェーンセットを利用して

ハンドルを持ち上げる要領もひとつですが

こちらの要領もひとつとして身につけておくと

自分の引き出しを増やすことになりますので

ぜひ覚えていってくださいね。

 

要領としては、まずスプレッダーのあてる位置です。

片方はハンドル、もう片方は床面ではなく

ドア付近のステップにあてます。

そしてスプレッダーを開放していき、ハンドルを持ち上げていきます。

このステップにきちんとあてないと

床面が沈み込むような挙動となり、ハンドル自体にスプレッダーの力を

うまく伝えることができません。

 

この要領により、要救助者を挟まれから離脱することが完了したら

徐々にスプレッダーの力を抜いていきます。

ハンドルの位置をスプレッダーによって広げた位置を固定したい場合は

ラチェット機能付きのラッシングベルトを使用して

ハンドルとAピラーに巻きつけると、簡単に固定することができます。

まとめ

いかがだったでしょうか?

交通事故救助のテクニックの紹介でしたが

みなさまの新たな技術の発見、理解となりましたら幸いです。

交通事故救助のテクニック①に引き続き

これまでで2回目の紹介となりましたが

今後も新たなテクニックを紹介してまいります。

すこしでも多くの命を迅速かつ安全に救出するために。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

質問やわかりにくい点などございましたら

遠慮なくコメント欄にどうぞ。

 

参考になる資料

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