水上バイクを活用した救助方法について

救助

みなさん、こんにちは。

いつも読んでいただきありがとうございます。

今回は水上バイクを活用した救助方法についての解説です。

水上バイクは海のアウトドアスポーツやレジャーとして

バナナボートに乗って楽しんだりしますよね。

そういった楽しむイメージの高い水上バイクですが

全国の消防本部にも救助用として配備されていますので

水上バイクで救助できるの?
水難救助は救命ボートじゃないの?
ウチの所属には水上バイク配備されているから、そんなことぐらい知ってるよ。

こういった方に向けた内容となっております。

ぜひ、最後まで読んでいってくださいね。

水難救助に関する過去の記事はこちらです。
スイフトウォーターレスキュー(急流救助)について
スイフトウォーターレスキュー(個人編)

それではまいりましょう!

っと、その前に私の簡単なプロフィールです。
kouと申します。
10年以上消防士として勤務していました。
在職中のほとんどを救助隊として過ごし、隊長、機関員、隊員の経験もあります。
現在は退職して、消防士の後輩向けに情報発信をしています。
もうすこし気になる方はトップページより、プロフィールを御覧ください。

そもそも水上バイクって?

こちらでは水上バイクと表記を統一していますが

ジェットスキーPWC(Personal Water Craft の略称) とも呼ばれています。

水上バイクを運転するためには

特殊小型船舶免許

が必要となります。

免許取得にかかる最低日数は2日

筆者自身は3日間 1日目、学科講習 2日目、実技講習 3日目学科試験及び実技試験

その他、学科試験対策が必要です。

取得の難易度は低いです。

外部リンク
ヤマハマリン船舶免許講習 

一度取得してしまえば免許は一生モノですし

水上バイクのレンタルもされているので、夏には家族友人と遊ぶこともできるので

個人で取得しても損はない免許ですよ。

 

操船するにあたっての注意

出典元:国土交通省

 

水上バイクの航行区域は、海、湖、川の陸岸より2海里(約3.7km)以内

もしくは、クルーザーなどに水上バイクを乗せて沖合で航行する場合は

クルーザーを中心として2海里となります。

 

免許が無くても、免許を持ってる人が一緒に乗ってれば運転してもいいの?

という疑問を持つ方もいらっしゃるかと思いますが

免許保有者が同乗していても無免許では運転できません

罰則もありますので、注意が必要です。

無免許操縦者に対する罰則 → 30万円以下の罰金
無免許者に操縦させた船長に対する行政処分 → 違反点数の加算

 

水上バイクが救助に活用されるようになったきっかけ

水上バイクが救助活動に活用し始められたのはハワイからです。

ハワイの波は激しく、ライフセーバーなど人力による救助活動では限界がありました。

そのため、船外機付きのボートを活用していたようですが

ハワイの激しい波への対応能力が乏しく

船外機のプロペラに人が巻き込まれてしまう事故も発生していました。

 

そこで、考えられたのが水上バイクを活用した救助方法でした。

水上バイクを活用するメリット

  • プロペラが露出していない
  • 機動力に優れ、波への対応能力も高い

 

サーフィンの世界大会でも、救助などのために待機しています。

波まで水上バイクで連れて行くこともしていますので

波への対応能力の高さがわかりますね。

 

もちろん、デメリットもあります。

それは水上バイクが推進力を得るために後方より吐き出される水流です。

実際にその水流を人体に受けた死亡事故も起きております。

プロペラに巻き込まれることはありませんが、水流が危険であることを認識しておく必要があります。

 

また、ボートのように大人数の救助には向いていません。

水上バイクの乗員定数は最大でも3名が一般的です。

その弱点を克服するために開発されたのが

救助用のイカダ、レスキュースレッドと呼ばれるものです。

当初はボディボードなどを使用していたようですが

開発テストを経た後に現在の形となりました。

日本での導入はウォーターリスクマネジメント協会が

ハワイライフガード協会のサポートを受けて2001年より普及がはじまりました。

海上保安庁や消防などの公的機関に広まったのもそのあたりからです。

 

実際の救助方法はどういったもの?

実際の映像がありますので、まずはそちらをご覧になってください。

こちらは、2人で救助するパターンです。

1人は運転席、2人目はレスキュースレッドに乗ります。

1人目の役割は、水上バイクの運転

2人目の役割は目視での捜索と救出した要救助者をレスキュースレッドに確保する要員です。

海上での捜索を行い、実際に要救助者を発見したら

要救助者の救出に向かいます。

 

要救助者のそばまで近づいたら、レスキュースレッドに乗っている隊員が要救助者まで泳いで確保します。

要救助者を確保させている間、水上バイクの隊員は一旦その場を離れます。

そして、水上バイクの左舷側が要救助者の横を通るように操船します。

 

要救助者を確保している隊員は要救助者の左腕を上げ、水上バイクを操船している隊員に向けておきます

水上バイクを操船する隊員は徐行しつつ、要救助者の左手を掴みます。

要救助者の左手を掴んだことを確認したら

後方のレスキュースレッドに要救助者を誘導し

海に入っている隊員が要救助者がレスキュースレッドに乗るよう補助をします。

 

要救助者をレスキュースレッドに乗せ、しっかりと隊員が確保していることを確認したら

陸上まで向かい救出完了となります。

他の救助パターンは?

その前に以下を前提としてください。

水上バイクで救助を行う場合の統一事項

① 原則エンジン停止しない
  アイドリング状態でも多少動く

② キルコード(テザーコード)はアクセルを操作する右手に着けておく
  左手は救助するためにフリーにしておく。

③ 要救助者を救助するときは水上バイクの左舷側を寄せる。

④ 要救助者や隊員が水中に入っている場合はアクセルを必要以上に吹かさない

⑤ 体温低下や怪我を防ぐため、真夏の暑い時期でもウェットスーツを着用する

⑥ PFD(救命胴衣)を必ず着用する

⑦ 航行中、水上バイクとレスキュースレッドの継ぎ目には触れない、触れさせない。
  手を挟み怪我をする可能性がある。

 

要救助者に意識があった場合

救助者が水上バイクを操船する隊員のみの場合

要救助者を発見したら、呼びかけして落ち着かせ

左手を上げるように指示をします。

水上バイクを操船し、ゆっくりと要救助者に近づき、左手を掴むように指示をして

お互いに左手を掴んだら、要救助者を後方のレスキュースレッドへと誘導します。

レスキュースレッドへと誘導したら、レスキュースレッドのストラップを握らせて乗り込ませます。

 

乗り込んだら以下のことを要救助者に指示します。

  • 振り落とされないように腹ばい、もしくはカエルのような姿勢で踏ん張るように指示
  • 陸岸への移動が終わるまではストラップから手を離さない
  • 航行中にレスキュースレッド意外の場所を触らないように注意する

これらを確認できたら、安全かつ迅速に陸まで搬送します

救助隊員2名の救助で隊員が飛び込む必要あり

要救助者のそばまで水上バイクを寄せる動きは上記のパターンと同じです。

要救助者を確保するために一度、水へ入ります。

 

要救助者を隊員が確保できたら、要救助者の左腕を上げておきます。

その上がった左手を水上バイクの操船をする隊員が握り、後方のレスキュースレッドまで誘導したら

水中の隊員が要救助者のが乗り込めるようにサポートします。

 

レスキュースレッドに要救助者が乗り込んだら、上部のストラップを握らせて

上から抑え込むように隊員が確保します。

  • 要救助者の両脇から腕を通して、ストラップを握る
  • 要救助者の股の間に両足を置き、レスキュースレッドから落ちないようにする
  • 隊員の胸でレスキュースレッドに要救助者を抑え込むようにする

以上の5点(両手、両足、胸)で要救助者を確保した後、水上バイクを操船する隊員に報告します。

水上バイクを操船する隊員はその報告を受けた後に陸岸へと向かい救出完了となります。

 

要救助者に意識がない場合

救助のために飛び込む必要なし(動画1:00すぎ)

水上バイクで要救助者まで近づいたら

レスキュースレッドに乗る隊員は最下部の右グリップを握ったまま水へと入ります。

要救助者を確保したら水中へと潜り、腰へタックルするようにしてレスキュースレッドへと乗せます。

乗せたタイミングで、水上バイクを操船する隊員は水上バイクをリバースへと切り替え
水中の隊員が要救助者をレスキュースレッド上方に移動させるタイミングでアクセルを吹かします。

すると、レスキュースレッドが水中へと潜り込むため要救助者を乗せやすくなります。

要救助者を乗せることができたら、確保する要領は「意識あり要救助者」と同じです。

ただ、要救助者の意識がないためグリップを握ることができませんし、仰向けの状態ですので

しっかりと隊員が確保する必要があります。

救助のため飛び込む必要あり(動画1:30ごろ)

水上バイクが要救助者まで近づいたら

レスキュースレッドの隊員は飛び込み、要救助者を確保します。

 

要救助者を確保したら、要救助者の左腕を上げ水上バイクの隊員に向けます。

水上バイクを操船する隊員はゆっくりと要救助者と隊員に近づき

要救助者の左手を掴みます。

左手を掴んだら、後方のレスキュースレッドに誘導し

レスキュースレッドに乗せ終わったら、飛び込む必要がない場合と同様に

要救助者を5点支持でしっかりと確保した後に陸岸へと搬送します。

JCSレベル300(痛み刺激による開眼なし)の搬送方法

救助の必要がない要救助者を搬送するときなどは

レスキューチューブを活用することもひとつの手段です。

① 要救助者にレスキューチューブを巻きます。

② レスキュースレッドに乗せたら

③ レスキューチューブのストラップをグリップに巻き、片側を固定

④ ストラップをレスキューチューブにぐるぐると巻いていく

⑤ 反対側まで巻いたら、またグリップに巻く

⑥ 残りのストラップは、レスキュースレッドや水上バイクに結着せず
  後部座席に乗る隊員が引っ張っておくのみ

搬送時は、後部座席の隊員が後方を向いて要救助者を監視します。

まとめ

いかがだったでしょうか?

水上バイクを配備している消防本部は全国各地にあります。

機動力に優れ、操船も簡単。

ただ簡単が故に、操船する訓練が少ないのでは?と危惧しています。

1年に2回程度であれば熟練度がそう上がることはありません。

とはいえ、業務も忙しく操船だけのために訓練時間を確保することも難しいでしょう。

なので、有志同士でお金を出し合ってレンタルし、遊びも兼ねて

操船する機会を増やすこともひとつかもしれませんね。

 

また、水上バイクだけの活動に依存せず、救命ボートも同時に運用すると

お互いの欠点を補うことができるでしょう。

今回紹介した水上バイクを活用した救助講習会を開催しているのは

ウォーターリスクマネジメント協会 という団体です。

2020年の講習回数は40回以上

講習にかかる費用は、公的機関の職員であれば助成費が活用できていたので

そこまで高額ではありません。

コースは

  • ドライバー(水上バイク操船)レベル1,2
  • レスキュアー(救助者)レベル1,2

それらの講習を受けた後、

プロフェッショナルレスキューオペレーター

それ以上はインストラクターコース

開催は全国各地で行われているので

地元で開催されるのであれば、一度受講することをオススメします。

 

以上参考になれば嬉しいです

記事の内容が良ければ、紹介していただけたり

コメントを頂けると更新の励みになり、とても嬉しいです。

不明な点、質問等も受け付けておりますので

遠慮なくコメント欄にどうぞ。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

関係リンク
ウォーターリスクマネジメント協会

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