アルテリアの研修を受けてみた。「搬送技術Ⅰ編」

救助

みなさん、こんにちは。いつも読んでいただきありがとうございます。

先日、以下の記事を解説しましたので、その続編です。

その前にざっくりとおさらいです。

株式会社アルテリアとは、フランスの登山用器具メーカー「ペツル」の正規輸入代理店で

埼玉県に会社を構えています。

そこで開催されている講習会に参加してまいりました。

「ロープアクセスⅠ」については、前回の記事を参考にしてください。

搬送技術Ⅰで学んだこと

・滑車(プーリー)の効率
・引き上げ、引き下ろし
・チロリアンブリッジの要領
・高荷重の引き下ろし

それでは、それぞれを深掘りしていきます。

2日目が始まって、まず搬送技術の知識を座学で学びました。

・下方、上方への搬送について注意すべき点。
・カウンターウェイト技術の活用
・チロリアンブリッジの搬送

主にこれら3つのことが解説されました。

当時、メーカーの方から適切な資機材の使用法について指導いただけたことは非常に新鮮さがあり

とても刺激を受けました。

なぜスパイク式のカムが使われているギアをビレイに使用してはいけないのか?

IDでのビレイ時により効率よく使用できる要領 などなど

ぼんやり理解していたことが、明確に理解できたことを覚えています。

ちなみに、なぜスパイク式のカムが使われているギアをビレイに使用してはいけないか?

スパイク式カムが使われているアッセンション

この答えは

ビレイ側のロープは、テンションが加わっていないため
メイン側のロープが破断した時に、その差分の落下により
大きな荷重が加わってしまうことがある。

その際に、ロープに噛み込んでいるスパイク式のカムが使われているギアであった場合に
ロープを破断させてしまう恐れがある

それを防ぐために、大きな荷重が加わってもロープが滑り出すようなギアを使用するべき。

ということでした。

座学を経て、実技に入ります。

まずは、引き上げ、引き下ろしの際の効率についてでした。

3倍力システムを組んだときの

資機材の組み合わせで伝導する力はどれほどになるのか?

といった内容でした。

組み合わせとその効率の結果は写真の通りです。

ついでにstopという資機材も計測しました。

上から、100kgを引いたときはどれほどの力で引けるのか

数値として表しています。

素引きで引いた場合は、
もちろん100kg

他は、高効率プーリーを使用した場合や

径のちいさなプーリー、摩損の高いID、カラビナのみ

などなど。

まず、どの組み合わせが効率がよいか予想します。

予想後に、実際にその組み合わせで引き上げを行います。

引き上げたものは、プレートの重りです。

結果的に予想していた、高効率プーリー同士の組み合わせである

マインダーとマインダーは意外と1位になりませんでした。

頭だけで理解していることと実測すると違いがでますね。

やってみないと分かりませんよね。

 

 

そして、お昼休憩に入ります。

 

午後に入り、チロリアンブリッジ高荷重の引き下ろしをグループに分け行いました。

高荷重の引き下ろしの内容は

IDの最大運用荷重である250kgを実際に行ってみました。

この塔の右側部分で行いました。

上の方に引き揚げ用のベビーホイストがあるのが分かりますかね?

引き上げについては、これで行ってますの自分たちでは引き揚げてませんw

消防でも訓練棟の最上階にあってもいいなーと少し思いました。

IDの高荷重の引き下ろしの要領については、こちらのリンクを参考にしてください。

 https://www.alteria.co.jp/professional/lowering-150kg-250kg_ids/

この要領のまま、実施しました。

実際に250kgという高荷重を扱うことは少なかったため

パニックロックがかかりやすいこと、熟練が必要なこと

身をもって感じることができました。

使用した資機材
・ID、プーリー、ツインプーリー、カラビナetc

続いて、チロリアンブリッジの実施に移りました。

これについては、地上面で行っております。

チロリアンブリッジの技術情報については、こちらを参考にしてください。

 https://www.alteria.co.jp/professional/チロリアンブリッジの張り込み/

まず、1本のロープをブリッジ線として張り込みます。

そのロープをガイドラインとして、滑車を取り付けてその下に担架をつけます。

誘導ロープ(タグライン)をバックアップとするため

IDで3倍力で救出する側に引き込みながら

反対側は、IDで緩めながら

と、常に一定のテンションを加えながら行いました。

これは、難易度の高い技術でした。

緩める側と引き込む側の息が合わなければ、なかなか担架は進みませんし

より多くの力が必要となります。

災害現場で使用できるまでは、熟練の必要なものだと感じました。

使用した資機材
・ID、ミニプーリー、ロールクリップ、レスキューセンダー、タンデム、カラビナetc

グループを分けての実技が終わり、全体での実技に変わりました。

内容はカウンターウェイト技術です。

こちらの赤い壁がある場所で行いました。

左側ですね。

カウンターウェイトの技術情報についてはこちらを参考にしてください。

 https://www.alteria.co.jp/download/pdf/technique/professional/Tech.rescue_principles.pdf

こちらは、実際に担架に収容した要救助者を引き上げ、

最後まで救出するというものでした。

狭いスペースで引き上げなければならない場合、救助システムの引きしろが確保できないため

引き込む側のロープに一人が体重を預け、

その体重分を要救助者の体重から引いた分の力で引き上げることができる

というものですね。

つまり、

 要救助者+担架(約150kg) − ロープにぶら下がる隊員(約90kg)
=60kg

引き上げるために必要な力は、60kg以上あれば良いというわけですね。

150kgを引き上げるよりも小さな力で引き上げられる

そういった技術になります。

ただ、引き込む側のロープに隊員1名がぶら下がりますので

そちらの活動場所が安全な場所でなければなりませんし

その隊員と、地上面で活動している隊員たちとの連携も取れなければうまくいきません。

特に注意すべき点としては

要救助者とぶら下がっている隊員がすれ違う地点ですね。

狭隘空間での活動が想定されますので

そこをうまくクリアできないといけませんよね。

ここは慎重にしていきました。

無事クリアして救出完了して終了となります。

最後に試験があったのですが

試験は、筆記試験が主な内容でした。

内容としては、引き上げシステムのイラストがあり

そのイラストの中から間違い探しをするといった内容でした。

まとめ

2日間の講習を終えて、たくさんの収穫があったことは間違いありません。

特に資機材についての知識は、深い理解へとつながりました。

今まで、資機材の限界値で使用しようとしていたこと

ハーネスの適切な着用への理解

ブリッジ線の張り込みへの理解

カウンターウェイトの正しい要領

とても勉強になりました。

ペツルの製品でプロフェッショナルにカテゴリされるものについては

基本的に販売店や資機材に精通した人からの説明を受けて

トレーニングをした後に使用することが前提としてあります。

それぞれの組織でも、こういった資機材があるのであれば

初めて使用する隊員には、資機材に関する知識や正しい使用方法を指導する必要があります。

そうしなければ、IDをただの降下器具としか扱うことができません。

私自身もそうでした。

せっかくの素晴らしい資機材を適切に、有効に活用できるように

自分の属する組織で指導してもらったことに加えて

外部の組織やアルテリアのような販売店に直接指導をしていただくことで

より資機材に精通することができるはずです。

外部の講習を受講したことがない方は

一度、受講してみてください。

たくさんの発見がありますよ。世界が広がります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

記事の中で分かりにくい点や質問があれば

コメント欄に遠慮なくどうぞ。

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