便利!!救助工作車のクレーンを利用した救助方法について

救助

みなさん、こんにちは。

今回は、救助工作車に艤装されている小型移動式クレーンを使用した

救助方法について説明していきたいと思います。

こちらの救助工作車に艤装してある小型移動式クレーン(※以下、クレーン)です。

多くの消防本部もこのような救助工作車を所有していると思います。

そのため、このクレーンを利用した救助方法というのはどこの消防本部でも一般化されています。

そこで、今回は以下のことについてポイントを押さえて解説してまいります。

 

・そもそも救助活動に使用してよいのか?

まずは、法的なことからですね。

勉強している方もおられると思いますが、しっかりとおさえていきたいと思います。

結論からいうと、救助活動時に使用することは可能です。

以下の消防庁通知文を見たことはありますか?

消防庁通知(平成20年2月18日)

(消防参第16号)
(厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課長あて総務省消防庁国民保護・防災部参事官通知)
クレーン等安全規則(昭和47年9月労働省令第34号。以下「規則」という。)第26条、第27条、第72条及び第73条の解釈について、消防隊員が行う救助活動にあたり、下記のとおり解釈してよいかご教示願います。

1 要救助者の運搬、又はつり上げについて
要救助者のみをクレーン又は移動式クレーンにより運搬、又はつり上げにより救助する場合については、当該規則に抵触しない。
2 消防隊員の運搬、又はつり上げについて
消防隊員は、規則第26条及び第72条の規定による「労働者」に該当することから、救助活動のために消防隊員をクレーン及び移動式クレーンにより運搬、又はつり上げてはならない。
ただし、救助活動時、消防隊が保有する資機材で他に進入方法がない場合や緊急上やむを得ない場合等は、規則第27条第1項又は第73条第1項の規定に該当することから、それぞれ第27条第2項若しくは第3項又は第73条第2項若しくは第3項を遵守することにより、クレーンのつり具に専用のとう乗設備を設けて当該とう乗設備にとう乗させ、消防隊員を運搬、又はつり上げることは可能である。
なお、「専用のとう乗設備」とは、労働者をとう乗させて運搬又は作業させるための専用の搬器または作業床のことであり、次の基準に適合するものとする。
(1) 構造及び材料に応じた最大積載荷重が定められ、かつ、それが表示されていること。
(2) つり鋼索またはつり鋼線の安全係数は10以上、つり鎖又は鋼帯及び支点となる部分の安全係数は5以上であること。
(3) 高さ90cm以上の手すり、中さん及びはば木がそれぞれ全周にわたって設けられていること。
(4) 使用する材料は構造上の強度に影響を与えるような損傷、変形又は腐食等がないものであること。
以上

ほとんど、説明不要なのですが、少し深掘りを。

 

1 要救助者の運搬、又はつり上げについて

要救助者のみをクレーン又は移動式クレーンにより運搬、又はつり上げにより救助する場合については、当該規則に抵触しない

そのままなのですが、要救助者だけをバスケット担架やサーバイバースリング、エバックハーネスに収容してクレーンで吊り上げ救助することは、法に抵触しないよ。ということです。

要救助者の吊り上げOK!!

 

2 消防隊員の運搬、又はつり上げについて

消防隊員は、規則第26条及び第72条の規定による「労働者」に該当することから、救助活動のために消防隊員をクレーン及び移動式クレーンにより運搬、又はつり上げてはならない。

消防隊員の吊り上げはNG!

 

このあとには、続きがあります。

ただし、救助活動時、消防隊が保有する資機材で他に進入方法がない場合や緊急上やむを得ない場合等は、規則第27条第1項又は第73条第1項の規定に該当することから、それぞれ第27条第2項若しくは第3項又は第73条第2項若しくは第3項を遵守することにより、クレーンのつり具に専用のとう乗設備を設けて当該とう乗設備にとう乗させ、消防隊員を運搬、又はつり上げることは可能である。

なお、「専用のとう乗設備」とは、労働者をとう乗させて運搬又は作業させるための専用の搬器または作業床のことであり、次の基準に適合するものとする。

とう乗設備を設けたクレーン(ほぼほぼ屈折はしご車のバスケット部分)

(1) 構造及び材料に応じた最大積載荷重が定められ、かつ、それが表示されていること。

(2) つり鋼索またはつり鋼線の安全係数は10以上、つり鎖又は鋼帯及び支点となる部分の安全係数は5以上であること。

(3) 高さ90cm以上の手すり、中さん及びはば木がそれぞれ全周にわたって設けられていること。

(4) 使用する材料は構造上の強度に影響を与えるような損傷、変形又は腐食等がないものであること。

吊り上げ式の搭乗設備

この専用の条件をクリアしている、「とう乗設備を有したクレーンを艤装している救助工作車」を保有している消防本部はありませんよね。すくなくとも私は聞いたことがありません。

つまりは、要救助者を収容した担架にアテンド(介添え)することはまず「できない」ということですね。

アテンドをやれるのか、やれないのかということを聞かれたら、「やれます。」

ただ、少なくとも法的には「できない」ということです。

ここは理解しておく必要があります。なぜなら公務員は法律を遵守しなければならないからです。

そして、指揮をとる立場の方は安易にこの選択をしてはいけません。

消防庁通知の根拠は以下のとおり。

(搭乗の制限)
第七十二条  事業者は、移動式クレーンにより、労働者を運搬し、又は労働者をつり上げて作業
         させてはならない。

(搭乗の制限等)
第七十三条  事業者は、前条の規定にかかわらず、作業の性質上やむを得ない場合又は安全な作業の
         遂行上必要な場合は、移動式クレーンにつり具に専用のとう乗設備を設けて当該とう乗
         設備に労働者を乗せることができる。
  事業者は、前項のとう乗設備については、墜落による労働者の危険を防止するため次の事項を
  行わなければならない。
   一  とう乗設備の転位及び脱落を防止する措置を講ずること。
   二  労働者に要求性能墜落制止用器具等を使用させること。
   三  とう乗設備ととう乗者との総重量の一・三倍に相当する重量に五百キログラムを加えた
     値が、当該移動式クレーンの定格荷重をこえないこと。
  四  とう乗設備を下降させるときは、動力下降の方法によること。
  労働者は、前項の場合において要求性能墜落制止用器具等の使用を命じられたときは、
  これを使用しなければならない。

・小型移動式クレーンの性能は?

小型移動式クレーンといっても、メーカー各社によって微妙に仕様が異なります。

私が所属していた消防本部の救助工作車のクレーンはユニック製でした。

他にも、コマツやタダノとかもありますよね。

操作レバーの位置が違っていて戸惑うこともありました。

中央にクレーン艤装した消防車

基本的に小型移動式クレーンには定義があります。

移動式クレーンとは、「荷を動力を用いてつり上げ、これを水平に運搬することを目的とする機械装置で、原動機を内蔵し、かつ、不特定の場所に移動させることができるもの」。

このうち、つり上げ荷重が1トン以上5トン未満の移動式クレーンを小型移動式クレーンといいます。

おおよその救助工作車にはこの小型移動式クレーンが艤装されていますよね。

そして、最大吊り上げ荷重が約3トンのクレーンですね。

ブームが何段あるのか、ブーム角度は何度なのか。

この条件によっても吊り上げられる荷重は変わってきます。

おおよその小型移動式クレーンの諸元性能は以下のとおりです。

  • 吊り上げ最大荷重:2.93トン
  • 最大地上揚程:約9.5m
  • 最大作業半径:7.51m
  • ワイヤロープ長さ:約50m
  • アウトリガ最大張り出し幅:3.5m

ワイヤロープについては4倍力になっており、

またワイヤドラムに捨て巻きをしなければならないので実質12.5mほどです。

これを考慮すれば、ブーム最短の時と最長の時にどれほどの高さであれば使用できるかを判断できます。

ただ、ブーム角度による最大吊り上げ荷重の変動もありますので、しっかりと確認してください。

・救助活動で使用する場合の注意点

救助活動に使用する場合の注意点についてですが、

活動状況、現場環境など考慮すべき点は多く存在します。

クレーンを使用した救助プランと使用しない救助プラン、

どちらも選択できる場合はおそらくクレーンを使用することになりますが

一番注意しなければならないことは、油圧の力を使って重量物や要救助者を持ち上げているということです。

当たり前のことですが、しっかりと頭に入れておかなければなりません。

このクレーンで吊り上げたり降ろしたりするのは、ワイヤーを巻きとるウインチです。

このウインチはどんなに重くてもある程度巻き上げることができてしまいます。

それで何が起こるのかというと、車体の転倒や持ち上げた物の落下です。

クレーンの事故で最も多い事案がこのパターンです。

クレーン転倒事故

人力で引き上げる場合は、あまりに重すぎると引き上げることすらままなりませんが、

クレーンで吊り上げる場合はワイヤを巻き上げることが可能なためにそのまま活動をやってしまいがちです。

また、要救助者を吊り上げて救助する場合においては開放された空間を救助する場合は大丈夫なのですが

閉鎖空間、狭い空間を吊り上げる場合も注意しなければなりません。

要救助者の頭などカラダの一部が引っかかっていることもあり、

そのまま吊り上げてしまうと容態を悪化、もしくは新たに受傷させてしまうおそれがあります。

簡単にできてしまうが故に、気づかないこともありますのでクレーンを選択する場合は十分注意が必要です。

・救助方法について考察

高さ約10m未満の低所救出では、割と安全かつ確実、迅速に救助できます。

しかし、これ以上の高低差がある場合はどのようにしますか?

簡単なのは、編みロープ等で4倍力システムを事前に組んでおき、それをフックに取り付ける方法です。

ただ、これも引き上げ途中に引っかかりや摩擦抵抗が起こりうるエッジ部分があるとうまく引き上げられません。

その場合はクレーンのフックを高取り支点(ハイポイントアンカー)として活用する方法が有効です。

これであれば、摩擦が生じるロープを少なくすることができます。

図解で説明できるのが一番良いのですが、、、。

今後、図解を含めて説明したいと思います。

救助方法の内容が薄いですが、また詳しく解説いたします。

 

まとめ

さて、いかがだったでしょうか?身近な救助方法であるクレーンのことについて解説いたしましたが

再理解したり、少しでも知識になっていただけたら幸いです。

ご不明な点や分かりにくいところがありましたらコメント蘭の方に気兼ねなくどうぞ。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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