令和からの救助技術指導会

救助

みなさん、こんにちは。いつも読んでいただきありがとうございます。

先日、わたしはこういった記事を投稿しました。

この中では、現状の救助技術指導会について解説、現役消防士たちの考え方などを書かせていただきました。

今回は、近未来的な救助技術指導会のことについて解説、紹介、提案してまいります。

現役消防士で若い方、これから消防士となる方たちに向けた記事となります。
では、さっそく本題に入っていきましょう。

今回のポイント
・現状の救助技術指導会の問題点
・世界の消防救助大会
・令和からの救助技術指導会

以上をポイントとして解説してまいります。

現状の救助技術指導会の問題点

現在、行われている救助技術指導会の問題について解説してまいります。

こういった話をしますと、「そもそもが救助指導会否定派の話だ!」なんて声が聞こえてきそうですが事実ベースで法的根拠などをもとに書いてまいります.

あくまで、「問題点」としてあげさせていただきます。批判するものではありませんのでご理解ください。

まずは、法的な問題からです。

一般的な消防署に建設されている訓練塔と呼ばれている建物は、おおよそ救助技術指導会の訓練が実施できるように建設されています。

建物の高さ、はしご、支点の位置、距離などです。

訓練塔の一例

こちらの訓練塔で実施される種目の「ロープブリッジ救出」「引揚救助」「障害突破」「ロープ応用登はん」「はしご登はん」「ロープブリッジ渡過」については、現状のまま開催するとほとんどが法令違反となります。

それはなぜか。

まず、7mという高さの問題があります。

この高さについては、「墜落制止用器具」の着用が義務付けとされている中で、これらの種目は着用しておりません。

胴ベルト型安全帯の着用はしているじゃないか。」ということも言われそうですが、きちんと法令に書かれております。

6.75m以下の場合のみ使用可能 と。

基本的にはこの高さを超えて作業を行う場合は「フルハーネス型安全帯」を着用しなければなりません。

どうですか?この要件をクリアしている種目はありますか?

また、「ロープブリッジ救出」「障害突破」については「ライフライン」の未設置も該当します。

この根拠は「ロープ高所作業」における法令改正です。

この法令には、「高さ2m以上で足場を設けることが困難な時において、ロープにぶら下がり作業を行う場合、

メインラインとライフラインを設置しなければならないとされています。

「ロープブリッジ救出」は座席結びのカラビナ1点に体を預けており、「障害突破」は、首絡み懸垂降下のメインラインのみ。

他の種目もクリアしているか?と聞かれると、答えは明らかですよね。

「いや、これはあくまで競技なのだからOKだ!」との声に対する回答としましては、

事業主(所属長、消防長)が労働者(消防隊員)に業務として、賃金が発生する場合は労働安全衛生法を遵守することが義務付けられております。

そのため、そういった声に対する回答は厳しいようですが、上記のようなものとなります。

他には、ケガや事故が多発している問題ですね。

これについては、死亡事故や重大事故につながっていないかぎり、ニュース等になっていないためあまり知られておりませんが

毎年のように救助技術指導会を実施している隊員は何かしらの怪我を負っています。

この救助技術指導会は全国的に各消防本部内での選考会、県大会が異動間もない4月や5月に実施されております。

さて、3月まで救助指導会の訓練や体力錬成をしっかりとやってきた隊員であればケガはしづらいでしょうが、それ以外の隊員はどうでしょうか?

あまり表には出てきませんが、かなりしんどい訓練を行い、朝から夕方まで指導会訓練を2〜3ヶ月ほどみっちりやれば、カラダが悲鳴をあげるのは当たり前です。

私自身も毎年のようにケガをしていました。

ですが、やらないわけにもいかないのです。

厳しいですが、結果が全てだからです。

結果を出すためには、訓練をやるしかないのです。

オリンピック選手のように4年に1度、種目も決まっていれば調整期間もとりやすいのですが、消防はいかんせんそうもいきません。

準備期間も短く、結果は求められる、「非常に大きなプレッシャー」と毎日戦っていました。

事故の問題も毎年、取り上げられていますね。

この方は、死亡してしまいました。まだ若く、奥さんやこどももいたようです。

実は、救助技術指導会での死亡事故は少なくありません。

迅速さを求めるあまり、安全がおろそかになっていることがよくわかります。

他にも問題が山積みですが、ここまでにしておきます。

ここでのポイント
・法的に違反している種目がある
・ケガや事故が多発している。

 

 

世界の消防救助大会

では、少し海外に目を向けてみましょうか。

世界でも救助大会なるものは存在しております。

日本は「救助技術指導会」が代表的で、ロープとカラビナ、空気呼吸器を主に使うような種目ですよね。

しかし、世界の救助大会は非常に種目も多く、完全に救助なの?消防なの?といったものもあります。

では、どういったものがあるのか。紹介していきます。

ここまで割り切った消防運動会もいいですね!w

また、あまり知られていませんが、世界警察消防スポーツ連盟の世界大会も実施されています。

こちらについては、世界中の警察官や消防士などを対象としたオリンピックのような大会です。

日本では馴染みのない大会ですが、ビッグイベントとなっています。

陸上種目、武闘種目、水上種目など種類も豊富です

なかには、消防士特有の種目もあります。ステアレース、放水種目などがあります。

なかでも、ステアレースは日本でも開催されていますね。

他には、実践的な救助大会も世界各地で開催されております。

日本でももっと開催されると良いのですが。

まずは、ロープレスキュー大会ですね。世界最高峰のロープレスキュー大会は通称「grimp day」と呼ばれ、ヨーロッパのベルギーで開催されております。

遊園地や吊り橋、既存の建物が利用され、最高難易度の救助技術がこれでもかとみられる素晴らしい大会です。

次に交通事故救助の大会です。こちらは、ポルトガルで行われたものですが、救助技術はもちろんのこと要救助者に対するケアも審査の対象となる大会です。

アジアの国でもこういった大会は実施されており、なかでも台湾は積極的に先進的な救助技術大会を行っており、目を見張るものがあります。

日本で実施されているものは、主にロープレスキュー大会ですね。

先日、「grimp day JAPAN」が岡山県で初めて実施されました。優勝は、兵庫県のチームだったようです。


  

ここのポイント
・世界にも救助大会、スポーツ大会なるものが存在している。
・実践的、高難易度の救助想定の救助大会もあわせて実施されている。

 

令和からの救助技術指導会

いかがでしょうか?

世界に目を向けてみると、さまざまな救助技術大会が行われていることがよくわかりますね。

救助といってもさまざまな災害事案があります。

火災、水難、転落、山岳、交通事故など。

それぞれ起こりうる危険も異なるため、装備も違いますし、安全管理も変わってきます。

こういった災害事象別にトレーニングしていくには、現場を想定した訓練がより必要になってきます。

そして、「井の中の蛙」「ガラパゴス」状態とならないように定期的に他の消防本部の救助技術や世界に目を向けていくことが今後の日本消防を進化させていけるようになるのではないでしょうか?

日本で消防組織発足当時から続いている救助技術指導会も時代にあわせて変化し、進化していくステージにあがっていこうではありませんか。

 

政令市を除く、消防本部はおおよそ5人程度で編成が組まれております。

この限られた人数、時間、資機材のなかで災害現場で効率よく活動するためにも救助技術指導会も現場に即した内容へと変更していくことを望みます。

 

新年度になり、救助技術指導会の訓練なども始まっており、大変な時期ではあると思いますが、自分自身が取り組んでいることについて知っておくことは非常に大切です。

すこしでも救助技術指導会の現状について知っていただけたら嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

わかりづらいことや質問などがありましたら、コメント欄に遠慮なくどうぞ。

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2 件のコメント

  • 非常に見やすい記事、ありがとうございました。
    自由落下距離が6.75m以下と解釈すれば、安全マットを設置した場合、胴ベルト型が使用可能となる可能性があります。
    また、懸垂ロープや展張ロープの2本合わせのうち、1本をメインライン、もう1本をライフラインと見れないこともないですが、そもそも墜落制止用器具を装着してないことが引っ掛かってくると思います。

    • TETSUさん、コメントありがとうございます!
      そうですね。
      解釈次第では、
      救助大会施設の高さは6.75m以下(安全マットの高さ0.5mとしたとき)
      合わせロープ2本がそれぞれメインライン及びライフライン
      とできるかもしれませんね。

      より安全に活動や訓練を目的とするのであれば
      安全マットは、最悪落下した場合の安全装置なのでGLとしない
      合わせロープはあくまでも「2本で1つ」のメインライン、確保ロープはライフライン
      としていくと事故を少なくすることが可能性が上がるのではないかと私は考えています。

      墜落制止用器具については、着装しても支障のない競技
      例えば「はしごとはん、ロープ応用とはん、ロープブリッジ渡過」は大丈夫かもしれませんが
      「引揚救助、障害突破、ロープブリッジ救出」については、確保ロープの着脱や降下時のハーネス破損が
      考えられるので着装は現実的でないですよね。

      現在の法律に即した競技が難しい状況なのであれば、競技内容の変更を検討しないといけない時期なのではないかと考えています。

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    kou
    10年以上消防士として災害現場の最前線に立った後に退職。 職歴のほとんどを救助隊員として過ごし、隊長、機関員、隊員を経験している。 日本全国各地での大災害にも緊急消防援助隊として活動した経歴をもつ。 退職後は、日本全国の消防士の後輩など災害現場に立ち向かう方に向けた情報や一般の方に防災に関する情報を発信。 このブログの目的は、優良な消防救助防災知識を広めていくこと。 たまに、生活情報も発信します。