こんにちは、いつも読んでいただきありがとうございます。
本日は、世界の消防救助大会を具体的に解説していきたいと思います。
先日、私はこういった記事を投稿いたしました。
この中で、世界の消防救助大会を取り上げていますが具体的にどういったものなのかを説明してまいります。
日本の消防救助大会でもロープを使用しているので、より身近に感じられるロープレスキュー大会に注目していきます。
以下のことをポイントとして深掘りしていきます。
内容のベースとしまして、台湾で行われたロープレスキュー大会「橋〜chiao~」をもととなっています。
・出場チーム、チームの内訳
・救助想定
・スタートからゴールまで
・大会終了後
この記事は消防救助大会大好きな人、ロープレスキューに興味のある人、海外の消防救助大会が気になる人などに向けた記事となっております。
・出場チーム、チームの内訳
2020年に沖縄県で行われる予定のロープレスキュー大会〜chiao〜ですが、以下のチームがエントリーしています。

そのチームそれぞれのメンバーは主に7人で構成されております。
リーダー(指揮者)、アテンダー(介添え隊員)、アタッカー(第一進入隊員)、リガー(地上隊員)2人、ビクティム(要救助者)、コントローラー(評価者)といった感じです。
リーダー(指揮者)とは、その名の通り消防でいう小隊長の役割となっています。

担当者から救助想定を付与され、その情報を各メンバーに伝えます。
その情報をもとに救助プランを考え、メンバーとともに活動していきます。
アタッカー(第一進入隊員)とは、コマンダー(指揮者)とともにまずはビクティム(要救助者)への迅速な接触を目指します。

おもに進入用ロープや要救助者用の救急資機材等をバッグに入れています。
進入し、要救助者へ接触すればコマンダーに要救助者の容態や進入経路の状況を伝える役目を担っています。
アテンダー(介添え隊員)は、アタッカー進入後の次に進入する隊員です。

おもに要救助者を収容するための担架を携行しています。
進入は、自分自身で進入することもありますが救助用ロープを使い進入し、アタッカーと協力して担架に要救助者を収容し、引き上げたり下ろしたりすることで救助を目指します。
その際にアテンダーと名のとおり、担架に介添えして障害物をクリアしたり、要救助者のケアを目的としています。
ちなみにアテンダーというのはチームの中でもエース級が担う役目です。
チームそれぞれのアテンダーが仲良くなることもあるようです。
リガー(地上隊員)の役目は、縁の下の力持ち的な役割となっています。人数も2人あてられ、力を要するポジションです。

先行していく、アタッカーやアテンダーなどと違い、長いロープや重い資機材を搬送しなければならないうえに、引き上げ時にも非常に体力を使います。
体力自慢や体の大きなメンバーがあてられるポジションです。
ビクティム(要救助者)は、ダミーではなく必ずメンバーの一人があてられます。

要救助者役だからとはいえ、大会関係者から定位置まで案内されることはありません。
他のメンバーと同様に救助される場所まで自分自身で向かわなければなりません。
もちろんロープアクセスの技術を使ってです。
さらに、プレッシャーとなるのがビクティムがその位置まで到着しなければメンバーは救助活動を開始することができないのです。
ですから、他のメンバーと同様もしくはそれ以上のロープアクセス技術を持っていなければ、タイムロスとなってしまうのです。
ちなみに他国のビクティムには女性があてられることが多いようです。
体重も軽く、小柄であるため、収容や救助の負担をすこしでも軽減させるためですね。
日本の感覚でいくと、女性がロープアクセス?!と驚かれるかもしれませんが海外では割と普通なようです。
ビクティムだけでなく、コマンダーに女性をあてるチームもありましたしね。
最後に、コントローラー(評価者)です。
このメンバーの役割は、チームメンバーと一緒に活動するわけではありません。
では、何をしているのかというと他のチームの競技を評価する役割を担っています。
もちろん安全管理も兼ねています。
このコントローラーは他のチームのミスや安全かどうかの評価をできないと自分のチームの点数に響いてきます。気を抜けません。
コントローラーを評価するのは、大会関係者になります。
コントローラーの役割を担うのは、ロープレスキューの経験豊富、知識技術に長けた人があてられています。
他にもサポートメンバーという役割もあります。
救助想定の活動には参加できないものの、メンバー活動のサポートをする大事なメンバーです。
おもにメンバーを会場まで送迎したり、食事を用意したり、資機材を搬送することが役割となっています。
緊急消防援助隊でいう後方支援隊といった感じですね。
以上のようなメンバーにより構成され、ひとつひとつの想定をクリアしていきます。
日本の救助隊では、明確な役割というのが小隊長(指揮者)ぐらいしかないので今後はそういった役割を明確にしてその分野のスペシャリストを育成すると救助のレベルがグッと引きあがっていきそうですね。
・どんな救助想定なの?
救助想定ですが、とてつもないスケールで行われています。
競技スタジアム、吊り橋、河川、渓谷などなど。
ヨーロッパでおこなわれているglimpdayでは、ビルなどの高層階でも行われていますね。
日本では、なかなかこういった場所で訓練することはできませんよね。
ほぼほぼ敷地内の訓練塔であったりが多いと思います。
山岳救助訓練で野外での訓練もたまにはできるかもしれませんが、都市部での複雑な建物での訓練はなかなか厳しいかと思います。
訓練塔以外での建物で訓練することのメリットとして
・支点、支持物の見極め、作成要領
・限られた空間での活動要領
・エッジに対するロープ保護の意識
などがあげられます。
災害現場は訓練塔にあるような支点はほぼ皆無といっていいでしょうから、上記のような意識づけをするためにもこういった救助大会に出場することは有効なのではないかと考えております。
・スタートからゴールまで
この想定の中でひとつ詳細に説明いたします。

競技スタジアムの想定の中で、宙吊りとなったビクティム(要救助者)を救出するというものです。
制限時間は90分です。
左上の「F5」というところがスタートであり、ゴールになっています。
スタートされると、まずビクティムが下の宙吊りポイントまで行き、到着したところから他の隊員たちが活動を開始します。
ビクティムがそのポイントまでいく過程を確認しながら他の隊員は救助プランを練ります。
ですから、ビクティムのロープアクセスが重要となってくるわけです。

制限時間もどんどん減っていきますし、また、その動きをみて効率的に活動ができるためです。
そして、ビクティムが所定の位置に到着すると他のメンバーが活動開始となります。
まずは、アタッカーが進入準備をしてビクティムに接触するため向かいます。
その間にアテンダーは収容する担架の準備を、リガーは救出するためのシステムを構築していきます。
そして、アタッカーがビクティムに接触するとコマンダーに対して状況を報告します。
・進入経路の状況
・要救助者の容態
・救出プランの提案、確認 など、です。
以上のことをコマンダーは確認し、リガーが構築中の救出システム等に問題がなければ、アテンダーは進入を開始します。
進入し、ビクティムとアタッカーのもとに到着したらアタッカーと協力しビクティムを担架に収容していきます。
三人とも不安定な空中での作業のため非常に苦戦します。
そして担架にビクティムを収容できれば、救出開始となります。
引き上げも活動スペースが限られているため、何度もなんどもリセットして引き上げ、リセットして引き上げの繰り返しです。
リガーを務めるメンバーはパワーも筋持久力も大変重要です。
最後の引き上げきるところまでくると、アテンダーの動きが重要になってきます。

狭い空間をくぐり抜けるために担架を水平吊りから垂直吊りに変換したり、担架が引っかからないように踏ん張ったりとその状況に応じて対応する必要があります。
アテンダーがチームのエースといわれる所以ですね。
ビクティムとアテンダーが無事にゴールに到着し、アタッカーも戻り、全員がその地点に着いたところのタイムでカウントされます。
競技の途中で、時間を止めてコントローラーと呼ばれる人が、カラビナがきちんと閉まっているか、ロープは2本(2系統)とされているかなど安全状態を確認します。
ここで不備があると減点されます。
スタートからゴールまでの流れはおおよそこのような感じです。
そして、この想定を計3日間、それぞれにいくつかの想定をこなしていくようなスケジュールになっています。
・大会終了後
この3日間を終了すると、最終日に表彰式を含めたパーティが開かれます。

最終日の想定を全てを終えた後に、出場したすべてのチームともゆっくりと交流しながら互いの健闘を称えます。
このときに思うのは、英語もっと話せるようになっておけばよかったなと。
勉強していない自分は少し後悔しますw
通訳アプリなどを駆使してなんとか会話することができます。
会話の中で思うのは、やはり人を救うためにやっているという認識は共通なのだと。
そして、本当にロープレスキューが大好きなのだということです。
さまざまな国の救助隊と交流し、Tシャツの交換などして親睦を深められる、このような機会というのは非常にかけがえのないものです。
さすがに災害現場で一緒に活動することはないでしょうけど、他国の消防をより知ることができますし、とてつもない刺激となります。
もちろん、大会である以上成績があり、順位がつくことはしかたないのですが
それよりも他国の救助技術や意識などを吸収して、自分たちはもとより日本の救助技術の向上に役立てたり
この現地で感じたことを他の消防職員や同僚に伝えていくことの方が大変重要なのではないかなと考えております。
いかがだったでしょうか?
すこしでも世界の消防救助大会、ロープレスキュー大会のことを知っていただけたらと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今後はもう少し、更新頻度をあげていきたいと考えております。
内容のことで質問やわかりにくいところがありましたら、遠慮なくコメント欄の方にどうぞ。
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