やっぱりやめとけ?!救助工作車のクレーンを利用した救助方法

救助

みなさん、こんにちは。

いつも読んでいただきありがとうございます。

今回こういった記事を書こうと思った動機があります。

それはこちらのニュースです。

救助訓練中の大けがで賠償

北九州市は、7年前の救助訓練中の事故で大けがを負い、後遺症が残った消防局の元隊員に対し、5800万円余りの賠償金を支払い和解する方針を固めました。
市では、関連する議案を来週開会する定例議会に提出することにしています。

この事故は平成25年3月、北九州市消防局の男性隊員が救助訓練中に、高さ5メートルのところに張られたロープからアスファルトの地面に落下したものです。

北九州市によりますと、この隊員は大けがを負い脳の一部に機能障害などの後遺症が残ったということで、現在は消防職員として事務系の業務をしています。

この事故について北九州市は、ロープの下に安全マットを置かないなど安全管理が十分ではなかったとして、この消防職員に対し5800万円余りの賠償金を支払い和解する方針を固めました。

市では、関連する議案を今月25日から始まる定例議会に提出することにしています。

北九州市消防局は「今回の事故を深く反省し、2度とこのような事故を発生させないよう訓練や研修を継続して行うなど、今後とも再発防止に取り組んでまいります」とコメントしています。

こちらのニュース、聞いたことがありますか?

消防職員が災害現場ではなく安全なはずの救助訓練で受傷するという、とても悲しいニュースでした。

今回はこちらのニュースをもとに以下を解説いたします。

・どういった訓練をしていたのか
・何が起きて、事故に至ったのか?
・事故の要因
・事故に対する解決策
・若い消防職員が考えていかなければならないこと

・どういった訓練をしていたのか

この事故は平成25年3月、北九州市消防局の男性隊員が救助訓練中に、高さ5メートルのところに張られたロープからアスファルトの地面に落下したものです。

と、ありますが分かりにくいですよね。

具体的にいいますと、河川の中洲に取り残された要救助者を救出する訓練をやっていたようです。

救助方法については、救助工作車のクレーンとウインチを使用して、対岸の樹木に見立てた電柱に支点にとりロープを展張し、隊員が進入して、要救助者を救出、そして脱出といった訓練内容だったようです。

この救助方法は、「これからのロープレスキュー」という消防雑誌にも取り上げられていた方法です。

かなり昔に出版されたものです。

・何が起きて、事故に至ったのか

では、この訓練に何が起こり事故に至ったのかを考えてみましょう。

救出側のウインチを支点、対岸の電柱を支点、この二つの支点をもとにロープを渡します。

ペツル社のstopでロープを留め、ウインチでロープを展張します。

進入隊員は渡したロープに着用したハーネスで身体を預けます。

進入するのに高さが必要なためクレーンを使用してフックに取り付けたカラビナと滑車を使用して展張ロープを持ち上げます。

高さ約5mのところまでロープを持ち上げたところ、展張ロープに取り付けていたカラビナが破断してしまい、進入隊員は地面に落下。

結果、進入隊員は重症の怪我を負ってしまいました。

※図解がなく、申し訳ありません。

・事故の要因

なぜ事故に至ったのか、北九州市消防局は調査をします。

調査の中で、破断したカラビナは訓練前に確認を行い異常のないものと確認し訓練に使用したとのこと。また同種のカラビナを全署所分調査し不具合、亀裂等ないか調査したとされています。

私は、北九州市消防局の職員ではなかったため真相にたどりつくことはできませんが、

原因は資機材ではなく、ヒューマンエラーによるものと推察します。

その理由は以下のとおりです。

・ロープを展張するのに、油圧で作動するウインチ、クレーンを利用したこと。
・資機材それぞれの使用荷重、破断荷重、適正展張力を無視して使用したこと。

ロープの破断荷重は太さによりますが、おおよそ4トンです。2本使用し展張していたならば単純計算で8トンになります。

ウインチは約5トン、クレーンは約3トン。

ロープを持ち上げるために使用したカラビナは…?

勘の鋭い方なら、お分かりになると思います。

カラビナの破断荷重を明らかに超過しているのです。

こちらの事故、「落下」とされていますが、はっきり申し上げると「地面に向けて発射」です。

なぜ発射なのか。イメージは弓矢です。

この弓の先端と先端がウインチの支点と樹木の支点です。

弦が、展張されたロープです。

弦にかかった矢の羽部分が隊員とクレーンのフックです。

ここのフックにかけられたカラビナが破断したら?

そうです。隊員は地面に向かって発射され、叩きつけられた状態になったのです。

しかも、油圧の力を利用し、丈夫なロープを限界にまで張らされてです。

考えるだけで恐ろしいです。

隊員は死亡に至っておりませんが、かなりの重症です。

安全マットを敷いていたとしても重症になるのは明らかです。

・事故に対する解決策

この事故を防ぐことはできなかったのか。

止められるタイミングは何度かあったはずです。

ですが、すべての安全策をすり抜けてしまったがために起きてしまったものと考えます。

この救助訓練計画を決めるにあたり、どこか不備はないか。見た目重視になっていないか。スピードを求めすぎていないか。など。

消防の救助といえば、救助指導会のロープブリッジを思い浮かべる方もおられると思います。

ピーンと張ったロープをものすごいスピードで渡っていく、そんな姿です。

ロープブリッジ救出

このロープブリッジの印象があまりにも強いが故に、これを利用した救助プランを考案したのではないかと。

ロープをピーンと張り、隊員がそのロープ上を颯爽と渡り、あっという間に要救助者のもとへたどり着きます。

ロープブリッジ線もクレーンを利用しているので、上げ下げは簡単です。

簡単が故に、人力ではあり得ない力を使うことができますが、その力は事故発生時にはとんでもない力が跳ね返ってくることも考慮しなければなりません。

また、難しい話になりますが物理学も基本的なことを学んでおく必要もあります。ここでいうと分力、合力などですね。

なんでも前例に沿ったプランにするのではなく、その都度チェックして不備がないか、危険がないかなどを確認していくことをおすすめします。

一番良いのは、第三者からの意見ですね。ロープレスキュー講師などに新しい救助プランについて意見をもらうこと。

なかなか組織内の人間同士では意見が言えないような状況もありますし、気づくこともできないことがあります。職場内の風通しがよければ意見も言いやすいのでしょうけどね。

救急のMC会議のように事後検討できるのがベストですね。

事故対策としては、
・ロープレスキューに油圧の力を組み合わせない! ※重要!!
・資機材それぞれの破断荷重や使用荷重、適正展張力について確認し、どこか負荷がかかりすぎていないか確認し合うこと
・前例踏襲せず、救助プランについて疑問を持つようにすること
・第三者からの意見をもらうこと
を提案いたします。

・若い消防職員が考えていかなければならないこと

日々の業務の中で思考停止していませんか?

もちろん、しっかりと考えて試行錯誤して取り組んでいる隊員もいると思います。

この思考停止状態はかなり危険です。どういった状況かは、以下のとおりです。

・言われるまで動かない
・指示されても動けない
・自分から動こうとしない

ひとつでも当てはまると危険です。

こういった事故を防ぐためにも、普段から疑問を持つようにして日々取り組んでいくことができれば上司、先輩に「これは実施しても安全でしょうか?」と問いかけることできます。

言われるがままに動いているだけでは、自分自身も危険にさらされることとなります。

人命を守る前に、自分自信、仲間を守ることができなければ、何ものも守ることができないと心に刻むべきです。

あとは、「知ること」です。

無知であるが故に、何もできない、危険を感知することもできない。

こういったことにならないためにも、勉強したり、研修を受けに行ったりすることが重要です。

知識を積極的に取りにいくことこそが、何よりも大切です。

時代は、常に変化していきます。いつまでも変わらないことをしていれば時代に遅れていきます。

何のために、誰のために救助訓練しているのか、しっかりと考えることができれば自ずと答えにたどり着くはずです。

そのために、微力ながら私もここでサポートしていく所存です。

知識、技術をしっかりと積み上げていきましょう。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

不明な点や質問がありましたら、遠慮なくコメント欄にどうぞ。

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